術者側からみれば、ZOOを装着すれば、患者を開口状態のまま維持でき、舌や頬粘膜は圧排されているので、 急に舌を動かす患者でも軟組織の損傷を起こしにくい、吸引、防湿、乾燥の機能があるため、 バキュームを持ってもらう必要がありません。
また、口腔内の水分を吸引するために、ZOOのチューブには多くの水や唾液を吸う穴があります。これらの穴が常に水分を吸引しているため、 口の中に唾液などがたまることが無く、ストレスのない治療を受けることが出来ます。
口腔内は温度30℃以上、湿度99%以上と極めて高温多湿ですが、一般に接着強さは高温多湿になるにつれて低下します。 ZOOは口腔の深部で吸引するため、口腔外から口腔内に向かう空気の流れを引き起こし、これが冷却、乾燥機能として働きます。 実際に本装置の口腔内温度に対する影響を調べたところ、口腔内の温度は低下し、湿度は著しく減少することが判明しました。 このことはZOOの使用が口腔内温度湿度を効果的にコントロールし、接着のための理想的な口腔内環境をつくり出すことを示唆しています。
チューブ部の先端には、22ないし26個の小孔があいており、歯牙の周囲を取り囲むようになります。それらの小孔からは、唾液、洗浄液、湿気が効果的に吸引されます。そして、口腔内を乾燥状態に保ちます。
このチューブ部は、頬、口唇、舌の圧排器として働きます。
ZOOは口腔内の深部に向かう気流を引き起こし、口腔内を冷却、乾燥します。図は乾燥した口腔粘膜を示します。
う蝕はMutans Streptococciの感染によって引き起こされる感染症です。 それゆえ、補綴物の永続性を高めるためには術中一貫して患歯の感染に注意を払う必要があります。安静時唾液は耳下腺、顎下腺、舌下腺や小唾液腺からの分泌物によって構成されるが、これら以外にも歯肉溝浸出液、剥離した上皮細胞、バクテリア、白血球などを含んでいます。
このような唾液との接触による患歯の感染を避けるためには、術中は常に患歯を隔離し、唾液による感水、汚染、感染を防止し、無菌化した状態を維持して補綴物の接着操作を完了しなければなりません。
ZOOのチューブは歯と舌・頬の間にセットされるので常に舌や頬を歯から離すようなスペーサーの役目もします。この事により医者・患者さん共に安心して良い治療結果を出すことが可能となります。