唾液は人間にとってなくてはならないものですが、歯科治療にとっては非常に困った存在なのです。
また、患者様も治療中は口を開け続けアゴが辛くなる上、唾液が溜まる不快感など我慢しなくてはなりませんでした。
ZOO(ズー)を使えば、完全な接着ができる上に、患者様も楽に治療が受けられます。
ちょっと想像して下さい。
あなたのお家の部屋の壁に、接着材で何かをくっつけるとしましょう。
普通は、接着剤をつけてしばらく壁につけているとある程度で接着します。
その後もよほどの力を加えない限りは、そのまま壁についています。ただ、これは部屋の壁だからできることであって、湯気のいっぱいこもったお風呂では同じようにはいきません。その理由としては、湯気によって壁がベタベタになってしまうことや、接着剤に水分を含んでしまうこと、部屋よりも温度が高いことなど、かなり接着剤にとって不利な条件になってしまいます。
また、なんとか接着できたとしても、水分を含んでしまった接着剤では、100%の力を発揮することはできないのです。
歯科治療にも同じことが言えます。
口の中は常に唾液で充満しており、歯に何かの詰め物をしなければならない時や接着が必要な時はとても苦労します。それに、食べ物を噛む時の力はとても強く、何度も何度も力がかかってしまいます。このような悪条件下での歯科治療は、昔からとても困難なものとされてきました。
治療の際に、今までは不要な唾液を排除する方法として、小型の掃除機のような吸引装置を使用しておりましたが、片手で吸引しながら、もう一方の手で治療を行うという大変な作業が必要でした。
歯科治療においても高いクオリティーを求められる現代では、どれだけ効率的な治療を行い、より早く確実な方法が求められています。
私たちは何か良い方法があるのではないかと考えさせられるようになりました。
吸引・防湿・圧排・乾燥・開口など、歯科治療にとって非常に手間で難しかった部分を克服するために研究を重ね、「ZOO」という歯科治療を躍進させることのできる器具が開発されました。
しっかりと唾液を吸引し、湿気のほとんどない条件で歯科治療を行うという理想的な治療器具です。
口腔内には唾液、血液、浸出液、呼気中の湿気、体温による温度の上昇など、被接着面を汚染したり、接着強度や硬化時間に影響を与えたりする可能性のある因子が存在します。
また、舌や頬粘膜の存在が口腔内における接着を困難にしています。
その目的のために通常はラバーダムが使用されますが、操作が煩雑であるうえ機能に限界があります。 ZOOはラバーダムや他の防湿装置の使用頻度を減少させるだけでなく、接着、根管治療、クラウンブリッジ、その他の歯科治療にたいする理想的な口腔内環境をつくり出してくれます。
ZOOの先端にあるワイヤースプリングの部分(バネ部)は自動的に開口状態を保持します。
ZOOには吸引管としての機能、防湿機能、口腔内を乾燥させる機能、舌や頬粘膜を圧排する圧排器としての機能等がすべて組み込まれています。そのため、 ZOOを使用することには多くの臨床的利点があります。ZOOの優れた性能を理解して頂くために、防湿装置の代表的なラバーダムと比較してみました。
ZOO | ラバーダム | |
---|---|---|
吸引機能 | ○ | × |
防湿機能 | ○ | ○ |
冷却・乾燥機能 | ○ | × |
舌・頬粘膜の圧排 | ○ | ○ |
開口状態の保持 | ○ | × |
誤嚥の防止 | × | ○ |
縁下カリエス等への対応 | ○ | × |
装着に要する時間 | 数秒 | 術者により異なる |
装着間(被装着感) | 良好 | 術者により痛い、臭い |